折りに触れ祖父から、大正9年からすし屋をやっていると聞かされていた母は、
この写真は大正9年に撮られたものだとずっと信じていました。
但し、この写真には撮影した日付が何処にも書かれておりませんでした。
つい先日のこと、親戚の家にこれと全く同じ写真が存在し、
その写真の裏に撮影した日付が書かれていたことが判明しました。
その写真の裏には「大正11年9月28日」と記されていました。
それによって、ようやくこの写真が撮られた日時が判明したのでした。
そして、それによって数々の疑問が氷解しました。
この写真から、櫓を組んで幟を立てて、提灯も並べて華やかに開店した当時の様子が窺えます。
中央の紋付羽織袴姿の坊主頭の男が若き日の羽鳥金作(私の祖父)です。
祖父の隣の紋付き姿の男性は、祖父の姉の旦那さん。つまり義理の兄さんで、
当時、小石川の近所で魚屋を営んでいました。
この度、この義理の兄さんの娘の家で、日付が書かれた全く同じ写真があることが判明
したのでした。
もしも大正9年に撮られていたのならば、父はまだ生まれていない訳で、左隅奥で赤ちゃんを抱いている
女性とこの赤ちゃんはいったい誰なのだろうか? と、ずっと母もわたしも不思議に思っていました。
実は、赤ちゃんを抱いているのが祖母(金作の妻)その人で、その腕に抱かれている赤ちゃんがわたしの父だったのです。
父は大正11年6月6日生まれですので、この時生後3ヶ月半。それならば合点がいきます。
親戚の家に奇跡的に残っていた写真のおかげで、数々の疑問が解決したのでした。
( 2021年1月3日 改訂 )
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